変わる分譲マンションの大規模修繕

ここ数年で大きく変わってきたのが分譲マンションの大規模修繕工事です。今までは管理会社にお願いする仕組みが普通でした。

では、なぜ?何が変わったのか?

①管理会社へ依頼せず管理組合が主体となって業者探しを始めた

もっとも、多いケースです。管理会社とはあくまで管理契約内の業務を行います。そのため、修繕会社ではないです。お手伝いさんという立ち位置なので、賃貸の管理会社とも意味合いが変わります。あくまで、決定権があり判断しないといけないのは管理組合です。

管理会社で最も悪いケースは、新築時から変わらない管理会社です。新築時は管理組合・理事会など全て素人集団です。右も左もわかりません。印鑑を押せと言われたら押す理事長。話し合いと言われてもわからないから誘導されるがままに進行します。

管理会社の問題は今のWEB社会になった事でどんどん明るみになりました。二重取りや手数料です。

例えば、管理組合が直接工事業者に工事をお願いしたら5,000万円だとします。ここに管理会社が間に入ると、6,000万円になります。1,000万円は管理会社が管理費など様々な名前をつけてもらいます。実際は何にもしません。いや、正確にはしたという内容は誰でもできる内容で現地に見に来ただけです。

今も、街を見ていると新築時から変わらない管理会社が大規模修繕工事でシートに名前を入れています。その手のマンションは管理組合が素人同然なので面倒になるので購入はオススメしません。そのくらいダメな管理組合でしょう。

管理会社の中では、一切手数料を受け取らない会社もいますが、ほとんど全ての会社が10~25%程を上乗せします。

各社の見積もりの最後に上乗せするパターンと、個々の業者に上乗せを依頼しているパターンもあるので管理組合からは見分けがつきません。

このような知識がついてきて、自ら立ち上がる管理組合は、情報を共有し、各自が分担で業者探しを行います。10社20社と会う管理組合もいらっしゃいます。時間は取られて大変ですが、同じ工事を安く依頼する事ができます。
 

②管理会社の工事業者の質の低下

上記の①で述べたように管理会社の工事の受注が昔より減りました。管理組合が立ち上がり不要な費用を払わなくなったためです。そこで管理会社は工事の受注をするために委託業者への賃金を減らしました。その結果、管理会社の工事を委託する業者の質が落ちてきて、どんどん囲えなくなりました。

過熱する塗装リフォーム市場 工事会社、次々に元請け転換

リフォーム産業新聞

先日のリフォーム産業新聞で掲載されていた次々に元請けへ転換という記事です。これは全ての工事業者に言えます。何でもインターネットで検索が可能になったため、下請け企業も独自のHPを所有し元請け業者に転換が始まりました。結果、しっかりした工事ができる業者はどんどん元請けになりました。

管理会社の下請けで工事を行っている専門業者の品質が落ちるのはそこが理由です。

また、建設業全体で人員の確保が難しい状況になってきており、工事業者の中でも忙しい業者と暇な業者の差が激しくなっております。

③怪しいコンサル

管理会社で工事の獲得ができなくなった事で増えてきたのがコンサルです。管理会社から依頼されたコンサルは完全に管理会社とずぶずぶです。マンション管理士や一級建築士も一緒です。紹介元がどこなのか?が重要です。この手の会社や人を管理会社が用意したのか?管理組合が探したのか?で内容は変わります。

特に注意は、

①資本金が〇〇〇万円以上

②年間の工事受注件数が〇〇件以上

③ISOの取得がある事

この3点です。これは遠回しに業者の選定で決められた工事業者が工事できるように誘導している方法です。

なぜなら今回行う工事にこの、①~③は関係ないからなんです。

理由は、

①:資本金の額ではなく、現在借金がいくらあるか?帝国データバンクでの評価や情報は?ここがポイントです。会社の規模に関係なく、ほとんど工事業者で様々な保険に入っているので万が一倒産となっても保証はされる事が多いです。また、倒産となると資本金が100万でも1億でも変わらず来ます。

②:年間100棟も5棟も関係ないです。皆様は外食で食べる時に打ち上げが1億のお店と100万のお店があったら1億のお店にしてますか?答えは売り上げなんて知らないですよね?味で考えたり初めのお店だと口コミなどを頼りにすることがおおいと思います。経験値がって思うと思いますが施工するのは下請け業者です。その下請け業者は今回初めての大規模修繕って場合すらあります。

③:ISOとは2000年から公共事業などの入札工事の時に必要になった基準です。これは取得や維持に大変コストがかかります。また、入札工事でISOが必要なのは年間100件ほどと言われてます。結果として取得している業者が少ないです。わざわざ取得している業者に高いお金払って工事をお願いするほど修繕積立金は余裕ですか?

このような理由を、あたかも大事の必要な事、当たり前といった形で話、付き合いを持っている工事業者に依頼するよう仕向けます。コンサルはコンサル料+工事業者からのマージンでダブルで頂くことも多いビジネスで管理組合を食い物にしている事も多いです。

管理組合はどう対応すべきか?

①大規模修繕工事の1回目は10年以内に行う
※新築の瑕疵は10年です。施工会社は瑕疵を逃れるために10年目以降で12年目に工事を進めてきますが、それではもし建物に欠陥があっても保証されません。また、新築時の塗料や工法は12年も持つ仕様ではない事が多いです。まずは10年目までに工事を行い、次の工事を15年後、17年後と延ばします。

②管理会社任せにしない
管理組合メンバーで勉強会に参加します。インターネットで検索すると全国でも様々な管理組合向けの勉強会が行われております。そのようなマンション管理士などが行っている勉強会に参加し意識を変えます。また、修繕委員会を立ち上げます。管理規約の変更が必要なので総会案件ですが、建物内で建設業に携わる人ややる気がある人を全員巻き込んで強い組織を作ります。今後も様々な修繕が行われるので強い味方になります。

③工事業者には必ず相見積もりを取る
5社、10社、15社などたくさんの業者に参加してもらい見積もりを取ります。そこで工事をお願いする業者を決めるために、まずは工法を決める・時期を決める・範囲を決めるための見積もりの基本を作ります。そして良いと思った業者数社で、最後に決めた工事内容で再度見積もりをお願いして頼みたい業者を選びます。業者を決めるのは価格だけではないです。サービス内容、人柄、会社の実態内容など様々な事を考えて選びます。

今回の記事は長くなりましたが、くれぐれも何もせず管理会社に頼む事や悪質コンサルにお願いする事のないようにしてください。


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